輪々華と華の化け猫暮らし

重い病の占い師が足長おじさん風ご主人様(夫)に飼われるだけの幸福を満喫しつつ反抗する日々📨ioan7379@yahoo.co.jp

みーさんが来た

みーさんが来た、家に。
夕方。多嘉良がいない時。
娘、志村さんがいた。

ピンポン鳴って、インターフォン、みーさん。

えっ?
と思う。でもまた「た、ま」(私のあだ名)と言ってるし。


多嘉良にとりあえず、連絡しようと携帯。
あれ、line。
みーさんから。

だいぶ前に来てた。30分くらい前。
どうしても会いたい、会う必要あるから、行く。って。

 

とりあえず多嘉良だ。
電話した。
だめだ、出ない、ってことは会議中。

娘が「みーパパ泣きそうなお顔、行ってあげて」
と言う。
志村さんが
「旦那様にお尋ねしなければ」と言う。

 

どうしよう、
どうすればいいの。

 

多嘉良には、みーさん
(多嘉良はみー君と言うと怒るので、さん付け)が
来てるから、いったん下に降ります、
とline。

 

志村さんに、下で話して来ます、と言った。
娘に、待っててね
と言って出た。

 

下に行ったら、みーさん、
ぎゅーっ。

またか。と思うけど、言葉が出ないんだから、仕方ないのかな。?

 

携帯のメール画面で、
みーさんが
「車で話したい」。

 

車は、まずいっしょ。
ロックされたら、開けられないし。

 

車は、乗れないよ
と答えた。


みーさん、私の服の袖をちょいちょい、引っ張る。
これ、この顔、
お願いお願い、の顔。
犬と同じ。みーさんの考えてることは、読み取りやすい。

 

また、メール画面で
「何もしない」。

 

ウソこけー。わかるんだぜ。
みーさんは、霊視とか予知とか、懐疑的。
何回も、言ったことが現実になるのを、目にしてるのに。

何回も、みーさんに対しても祈って、叶えて来ているのに。

 

有無を言わさず、起こったことには
「怖いな」と言って、

私が祈って、叶ったのよ
神様がいるよ、聞き届けてくれたんだよ
と教えても、
「俺の努力、実力」
と言っていた。
神様に感謝なし。

 

それを思い出して、

私、みーさんのこと
もう好きじゃない。
人としては好き。
旦那様は、多嘉良だから
多嘉良が好き。

と言った。はっきり。

 

みーさんは、別に傷ついた顔とか全くしなくて、
「タマと結婚したいとは、もう思わないよ」
と携帯に書いた。

 

何でか、それ見たら私のほうが悲しく、心が寒くなった。サーッと。

じゃあ、何をしたいの?
何しに来たの?

 

と言った。やばい。みーさんを傷つける言葉を、発してしまう予感。

言葉を飲み込む。

こー(娘)には?
こーには会いたくないの?

と聞いた。

 

それには、「会いたいよ」。と書いた。
みーさんが、娘のために
貯蓄してるのも、知ってるけど多嘉良がどう思ってるか、わからない。

 

娘が受け取るかも、わからない。娘は、たぶん受け取る義理がないと言うかもだし、逆にみーさんの気持ちを汲んで、受け取るだけは
受け取るかも。


その時、多嘉良から電話。

車からだ。ブルートゥースだか何だかで、

運転しながらも話せるもの。

『帰れと言え、それで帰らないなら警察呼べ』

何でか、その言葉にも傷つく。私が。何でだろ。

 

多嘉良、私が返事をしないので
『通話切るな』と言った。

その声もまた、怖い。
怒ってる。家に来たみーさんにだけど、私が追い返せないからだ。
私にも、怒ってる。

 

みーさんが、私の手を引っ張った。
何でみーさん、触るんだろ。もう奥さんじゃないのに。

それ、振り払えないんだから
私も駄目だ。私も変だ。

 

みーさん、また引っ張った。かなり強く。
車に行きたいんだ。
ゆっくりしか動けないだけで、力が弱いわけじゃない。前より、だいぶ痩せたのに。

 

嫌だ嫌だ、痛い痛い、
と言った。怖い!も
言った。

携帯ごしに多嘉良が、何か言ってる。
ハンズフリーにしろとか、
だと思う。こっちの音を上げたら、よく

聞こえるから?


みーさんの携帯、鳴ってる。多嘉良が別の携帯から、かけてる。信号待ちなの?

路肩に止めたの?


あ、もうすぐ。やばい。次には多嘉良が、110番しちゃう
と思ったので

多嘉良に、
「ごめん。大丈夫、み
ーさん帰るって」
と、いきなり静かな声で、
私は言っていた。


どうしたんだろう。私。

だんだん、だんだん、息が。変だ、苦しい。
「多嘉良、どうしよう、変になりそう、どうしよう、」
と携帯に向かって、言う。

 

変に
って。
息がじゃなく
息もなんだけど。
意識が、頭がフラフラ。
頭も痛い。昔みたい。
昔の、悪い怖い夢みたい。
嫌な夢の中みたいだ。

 


多嘉良、なんか言ってる。
落ち着かせるような種類の言葉。駄目。全然効かない。私の耳が聴こうとしてない。

みーさんも、みーさんで
おろおろしてる感じ。


私が、すごく具合悪い時、
心配でどうしようもないと、みーさんはこうなった。おろおろ。

 

おろおろしながら、なぜか
爪を切るのよ。落ち着くために。
人間って、変だよね。

 

でも今は外で、おろおろするだけ。弱い時のみーさんの姿。私は、見たくないわけじゃない。人の弱さを。みーさんがそれを表してくれたら、みーさんを庇わないといけない。

 

みーさん、背中撫でたりしてくれるんだけど、…

 

言わないとならない。
多嘉良が来るから、帰って
とか。
触んないでとか?言えない…

 

息を吸って、吐いて、
おかしくならないようにする。気持ち悪い。吐きそう。吐いた。花壇に。胃液。


全部黄色の液体。喉が焼ける。苦い、痛い。

ブルブル震えるし、顔、頬が麻痺したようになる。
昔は、よくあったんだけど。久々。舌も痺れるというか、縺れて、話せなくなる。
手足も冷たくなってる。手足も、痺れてる。
あー、なんだこれ。
何だっけ、これ。こっから、どうなるんだっけ。

 

と思ってたら、多嘉良の車。来た。見たら、気が抜けた。私がこんな状態なので、
すぐ病院行くってなって、
救急車呼ぼうとするから、
首を振った。車、車、と口の中で言った。(声にはならず)救急車、迷惑じゃん。これくらいで。

 

みーさんに、多嘉良は
「帰れ」と言った。それだけで済んだ。だって私が、すごく変だから。

 

病院行ったら、注射された。近くの病院の救急窓口。

何度めか、ここ。守衛さんのいる所に、サインして入るんだよ。

 

何かあると多嘉良が、いっつも電話する。

担当の科の先生が毎回いることはないけど、

必ず、来てくださいと言われる。当直の先生が処置してくれる。


私は緊急性高いなんて、思わないんだけど

夜中でも、冷たくされたことない。忙しくて、大変なはず。でも優しい。

多嘉良の判断のほうが、正しいのかな。?

 

先生、ぱっと見てすぐ注射。
ジアゼパムだし…

催眠鎮静薬。昔、あまり効かなかった。
てんかん、フラッシュバック(からのパニックアタック)で処方されたことある。専門じゃなくても、こんなん、見たらわかるよね。

 

うーん…
多嘉良が来たら、何とか
持ち直して来たので、完璧に精神的なもの。
でも、薬は嫌だな。
もう体内に入れないように
しよう。

 

みーさんとは、話をちゃんとして終わっていないので、いつかちゃんと早めに、
話さないとならない。